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2012年04月17日 火曜日中国事情

瀋陽での日本企業の分譲住宅販売その2

この10年間、中国の不動産はGDPの上昇と共に、買えば2倍から3倍に上がるのが当たり前のような状況だったが、ここにきて特に北京、上海、広州等の沿海部や大都市圏で、先に発展した地域の不動産価格の下落が目立ってきた。


実際に上海のマンションが値上がりして億ションになっても、売れないし、賃貸にしても家賃が高すぎて借り手がいない状況で、不動産デベロッパーも結構倒産している。


中国は広大で人口も多いので仕方のないことだと思うが、約30年前から改革開放政策が取られ、原則は先富論に代表されるように、先に沿海部や都市部を発展させ、ここにきて格差のできた内陸部や農村部への経済振興にシフトしてきた。


特に、国家プロジェクトとして「東北振興政策」を掲げ、先ずは大連港や丹東港等、海岸線を持つ遼寧省を中国東北部発展の最重要拠点と定め、その省都である「瀋陽」を発展させるべく国家予算もつけているように思える。これも東北部における先富論なのだろうか。


瀋陽を見ていると地下鉄1・2号線の開通 (計画は11号線まである) 、来年は中国の国体にあたる全国運動大会が開催されることもあり、5路線のLRT (路面電車) のインフラ整備、5つ星ホテル・ショッピングセンター・オフィス・マンション等、ここ3年くらい前からまさに東北振興政策によるものなのか、建設ラッシュとなっている。

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手前:シャングリ・ラ ホテルズ&リゾーツ 奥:ハイアット ホテルズ&リゾーツの開発物件
 (瀋陽オフィスのベランダより撮影)


ただし、私見ではあるが中国の分譲マンションの様子が変化してきたように思える。
今までの分譲マンションはほとんどスケルトン (内装無し) で、面積は150m2以上のものが人気があり、100m2以下は狭いイメージがあるので割と人気がなく、購入した後の管理面のことを気にする人は少なかった。
工事が着工したくらいで購入するので無理もないが、前から 「万科」 と「金地」 が開発するのマンションは管理が良いという評判は聞いていた。

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最近では、不動産価格も以前ほど急激に上がることは無いが、売りやすい又は貸しやすい物件に人気がでてきた。
条件的には、100m2以下、立地条件が良い、内装付き、セキュリティー・設備・清掃等のメンテナンスが良い、となってきているので、まさに日本の住宅建設等のノウハウが役に立つ時が来たように思う。


2年くらい前から三井住友銀行、三菱東京UFJ銀行の開設に合わせ、三菱地所、鹿島建設、東京建物、積水ハウス、京阪電気鉄道等、日本の不動産開発及び建設会社の瀋陽進出が増えてきたことと関係があるのだろうか。


今後の中国におけるマンションや戸建て住宅の建設では、日本の中小企業にもチャンスが出てくるものと期待したい。


日本企業が関わっている3ヵ所のオフィス・マンション等の複合型開発物件を見てきたので、次回から紹介していきます。